第1話: FIVE GUYS (特盛フライドポテトが繋いだ友情物語) / 岡俊介

 
 

今アメリカ西海岸の若者の間で絶大な支持を集めるハンバーガー・チェーンがある。

 

 

その名はFIVE GUYS(5人組)。

 

パンに挟む物を好きにカスタマイズできるバーガーも文句なしに美味なのだが、名物は何と言ってもこだわりのピーナッツオイルで揚げた特盛フライドポテトだ(と僕は決めつけている)。
何より驚くのはそのボリューム。ハンバーガーと一緒に紙袋に詰められたLサイズのフライドポテトは、溢れんばかりでとても1人で食べ切ることはできない。通称“友情ポテト”(勝手に命名)。

僕はFIVE GUYSのフライドポテトに特別な思い入れがある。
思い返せば僕の留学生活はここから始まったと言っても過言ではない。
初回はこの特盛フライドポテトにまつわる友情ストーリーを話したい。

 

渡米して2週間、僕は早くも猛烈に悩んでいた。
何って友達が全然できない。

 

実は最初の1週間までは、メリーランド大で学ぶ日本人留学生と日本好きのアメリカ人学生で作るジャパンソサイエティのメンバーからちょくちょく食事や遊びの誘いは受けたりもしていた。
しかし毎回丁重に断っていたらある時からもう呼ばれなくなってしまった。

 

別にカッコつけてる訳ではなかった。

 

ただ渡米してすぐの頃から、いろんな種類の人間と仲良くなりたいと思っていた。
ジャパンソサイエティのメンバー達を見ていて、彼らは彼らのコミュニティの中でずっと過ごしているような気がして、自分がそこから抜け出せなくなってしまうのが少し怖くて躊躇しただけだった。

 

日本ではずっと私立の一貫校に通っていて、気が合う友達とだけ付き合っていれば良い世界で生きてきて、そろそろ自分に試練を与えなければという気持ちも少しはあった気がする。

 

しかし、この時僕の“友達作り”は思った以上に難航していた。
アメリカ人はもっとフレンドリーで、外部の人間を誰でも簡単に受け入れてくれるものだと思っていたのが大きな間違いだと気付かされた。

 

多くの生粋のアメリカ人が、英語を喋れない外国人なんかと一緒にいるのは面倒くさいと感じていた。人種グループごとに分かれて食堂で座っているのを見て、生まれて初めて人種を意識した。そんなんじゃなくても、日本と同じで既にある仲良しグループに単身乗り込むのは結構タフだった。

 

そんなある日のこと、部屋を出ると同じ寮に住むヨーロッパ人留学生3人とアメリカ人学生1人がちょうど寮の建物を出て行くところだった。
彼らがこの4人組で歩いているのを僕はもう既に何回か見ていた。

 

僕「おはよう!」

4人組「おはよう!」

僕「どこ行くの??」

Nick (from USA)「FIVE GUYS!!」

僕「僕も一緒に行っていいかな(それが何なのか知らないけど)…?」

4人組「別に構わないよ〜〜〜」

 

メリーランド大のキャンパスを出てすぐのところにもFIVE GUYSがあったのだ。
こうして突然、僕はそれまで普段廊下で会っても挨拶程度しかした交わしたことがない4人組と一緒に、FIVE GUYSに行くことになった。

 

一面芝生が広がる緑のキャンパスを歩いて横切る途中、4人組は新入りの僕に色々話しかけてきた。
しかしそのうち僕が英語でまともに返せないとわかってくると、面倒くさいのかほとんど相手にされなくなった。

 

集団の中で1人相手にされず黙っているのはとてもに辛かった。

 

ようやく店に着き、1人1個ずつのバーガーに加えて、とりあえず巨大と噂されるLサイズのフライドポテトを1つ頼みみんなでシェアすることとなった。

 

出てきたフライドポテトを見て一同驚愕した(マサチューセッツから来たNickもFIVE GUYSは初めてだったらしい)。

 

思わず僕は “HOLY S**T!!” と覚えたてのスラングを叫んでしまった。
一同大爆笑。
これで完全に緊張が解けた。

 

全員死にそうになりながら、なんとか全てのポテトを食べ切った。
誰かが「お前細いくせに意外と食うな。」と言った。
ちゃんと会話できていたかどうか覚えていないが、食事中ずっと笑っていた気がする。

 

帰り道、広い芝生の校庭の真ん中で迫りつつあるフットボールシーズンに向けてマーチバンドが練習していて、近くに全員で座って一休みした。

この仲間達と1年間遊びまくった。

 

ボストンとフィラダルフィアに旅行し、夏はサーフィン、冬はスノボーにも行った。
週末は一緒にパーティーに行き、勉強に飽きると夜中にキャンパスにある噴水に飛び込んだ。

 

はっきりオンオフのあるメリハリの効いた生活は心地良かった。

 

彼らは僕の下手な英語を笑い者にし、僕はそれを全く気にしないそぶりを見せながらも必死で彼らの英語をコピーしようとした。
お互い気を使わなくて良い仲間がいることは、精神的安定のためにも自身の成長のためにも本当によかった。

 

壁を越えるために必要なものは語学力だけでは無いと知った。

 

何か共通のものを発見もしくは作っていけばいいんだ。

 

いつしか僕らは自分たちを “FIVE GUYS(5人組)”と呼ぶようになった。

 

1年の終わりが近づいた頃、再び5人全員揃ってFIVE GUYSに行った。
思い出話に花を咲かせながら店に到着して、最後だし少し無茶しようということでLサイズフライドポテトを3つ注文した。

 

ん?

 

あっけないくらい簡単に全部食べ終えてしまい、ようやく僕らはそこで “freshman 14 pounds”(アメリカの学生はその不健康な食生活のせいで、最初の年に14ポンド体重が増えるという都市伝説)が本当だと確信したのだった。

 

 
 
 
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