第28回:40歳代のアメリカ大学院留学編 -その16(英語力の話)- / 佐々木大

 
 

英語圏の国へ留学すると、当たり前ですが言語はすべて「英語」になります。ですが、実際のところはほとんどの日本人留学生がその「英語」について苦労しているようです。もちろん私自身も例外ではありませんでした。

 

20歳代の留学の際にも英語で苦労した話をしましたが、結局それから20年後に留学した際にもまったく同じように英語には苦しむことになってしまいました・・・

 

実際の話、TOEFL(英語を母国語としない人の英語能力試験)で必要な点数を取ったからと言って現地でバリバリと英語が使いこなせるかといえば必ずしもそうではないのが現実だと思います。現在、欧米のトップスクールではTOEFL iBTにおいて100点(PBTで600点、CBTで250点)以上の英語力が求められますが、この点数をクリアするのはもちろん簡単なことではありませんし、その点数を持っている人はかなりの英語力を持っている人だと思います。それでも、現地での教授の話、クラスメートとのディスカッションなど、みんなから苦労した話をよく耳にします。

欧米では、新学期前に授業についていく英語力を高めるため、留学生向けにサマースクールを提供している大学がいくつかあります。スタンフォードのサマースクールは、質が高いと評判は聞いていたのですが、実際のところかなり有意義な授業内容だったと思います。また、他の大学に進学するにもかかわらず、サマースクールだけはスタンフォードで受講するという学生も何名かいました。ただ、授業料が他のサマースクールに比べて格段に高いのが唯一のネックでしたが(^^;)

 

サマースクールでは約一ヶ月間、大学生活において必要になってくるカンバセーションやプレゼンテーション・ライティングのスキルを徹底的に叩き込まれます。たかが英語学習プログラムだろうと油断してかかっていたのですが、宿題やレポートの量も意外に多く、決して楽ができる内容ではなかったと思います・・・。

 

出願前、TOEFLでさんざん苦労してスコアメイクをし、さらにサマースクールで鍛えられたはずでしたが、実際の正規授業が始まると、あまりのレベルの違いに愕然としたことをよく覚えています。要は、TOEFLやサマースクールで使われる英語は、今にして思えばどちらかと言えばまだ「わかりやすい」英語だったんだと思います。実際に授業で使われる英語、すなわち教授の話やクラスメートのネイティブアメリカ人の使う英語は、ボキャブラリーや内容のレベルが高いばかりか、それを瞬時に理解し、それを元に今度は自分の考えをアウトプットして行かなければなりません。そういう意味では、現形式のTOEFL iBTという試験は良くできた内容かと思います。SpeakingやWritingといったアウトプット能力が含まれているだけでなく、ReadingやListeningを理解した上でしゃべったり書いたりという「Integrated Task」が要求されます。確かにTOEFL iBTは点数を取りにくいテストと言われていますが、留学後に困らないようにするために、TOEFL iBTの試験勉強によって事前にトレーニングできることはむしろメリットと言えるかもしれません。ちなみに私自身は2006年当、iBT形式に変わる直前にTOEFL CBTを受験しましたので、iBTで受けていたらまた違った状況だったかもしれません。

 

私自身、大学院の授業が始まった当初はまったくチンプンカンプンだった印象があります。教授が話した内容に関してクラス内でディスカッションをする機会が頻繁にありましたが、そもそも内容がきちんと理解できていなかったために、最初のころは何を話したら良いのかさえわからないことが多々ありました。そのために、事前予習は欠かせないのですが、その文献の量が半端ではありません。クラスメートのアメリカ人学生に、「留学生にとっては英語のハンディがあるから、この読書量は厳しいよ・・・」と愚痴をこぼしたことがありますが、「いや、アメリカ人にとってもこの量をこなすのは簡単ではないよ」との返答。ネイティブでも多いと言っている量をどうやったら我々ノンネイティブが同等に取り組んでいけるのだろうと愕然とした覚えがあります・・・。

 

クラスの成績はレポートの提出や、プレゼンテーションで評価されることが多かったのですが、レポートに関しては時間さえかければまとめることができたのでまだよかったと思います。プレゼンテーションは苦手な方も多いと思いますが、私自身について言えばプレゼンそのもの関しては特に苦手意識はありませんでした。というのも、一方的なプレゼンだったら、とにかく内容を徹底的に丸暗記して臨むことができましたので(苦笑)。ただ、問題なのはそのプレゼンに対して、教授やクラスメートから質問で突っ込まれることです。こればかりは事前に丸暗記するわけにはいきませんので大変苦労をしました。自分の英語力の無さに本当に情けない思いをしたものです・・・。

 

実際のところ、周りの話を聞いてみると、大学院の一年目はわからないながらもなんとかやりきり、二年目からは英語力も向上して理解力が増し、だいぶ落ち着いて授業に取り組めるようになったという体験談をよく耳にします。私の場合は一年間の修士プログラムでしたので、追われるがまま、あっという間に過ぎてしまいましたので、ちょっと中途半端になってしまった感がぬぐえません。

 

また、現地で意外だったのは、大学院留学生活を送っているにもかかわらず、英語力の向上のために、現地のプライベートの英会話学校に通い続ける人もいるということ。クラスメートと話をすることが会話上達の近道だと信じていましたが、あえてマンツーマンの会話レッスンを希望する人が結構いるという事実が意外でした。つまりそこまでしてでも貪欲に取り組んでいかなければ単に留学したというだけでは物足りなさを感じている人が多いとも言えます。

 

結局、私も修士修了要件の成績はなんとかクリアすることができましたが、だからと言って現地人と渡り合える英語力がバッチリついたかと言えば、やはりそこまでは行けていないと思います。さらに、日本に帰国し、英語を使う機会が乏しかったので、せっかく学んだ英語力もどんどん錆びついてしまっているような気さえします。

 

日本人の英語力の弱さは多くの人が認める事実だと思いますが、「留学」は英語力向上につながる最良の手段であることは間違いないでしょう。ただ、単に留学をすればそれでよいかというわけではありません。私のように、やはり英語には自信が持てないという人も多い状況から見ると、やはりまだまだ努力が足りなかったのだと思います。そして、今盛んに叫ばれているグローバル人材として活躍していくためには、留学後も「貪欲な」英語力向上の継続努力は不可欠なのだと強く感じています。

 
 
 
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